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築32年の2世帯住宅の改修。1階は祖母のスペース、2階は若夫婦と子供二人のスペースとなっています。法的条件のため、一部開口部を除き、外壁、構造はいじっていません。

流れ
改修前は、内廊下を挟んで、両側に部屋が取り付き、各部屋は、廊下に閉じ、家の奥行が深いため、中央は、暗々としていました。

改修では、部屋が孤立せず、全体が一つにつながるように、プランをつくりました。

壁や家具を、流れをつくるように、次々とずれて配置し、部屋の間は、ガラスの建具や欄間でつなぎました。家族の活動が混ざり合い、風通しの良いつながりを生みます。中央部へも自然光が届くようになりました。

茶色のエレメント
流れの各所に、壁、家具など、茶色のエレメントをちりばめました。

茶色のエレメントは、流れを視覚化し、玄関から次のシーンへと人を誘い込みます。サインのような仕掛けです。

人の集まる場所と濃淡
「玄関」「2階のLDK」、ホームコンサートを開く「音楽室・図書室」のような、人が行き交い、集まる、活動の活発な場所では、室内仕上での茶色の割合を高くしています。一方、個室に近づくに従って、茶色の割合は低くなり、一人部屋では、白に近づきます。

茶色の濃淡の違いは、活動の濃淡を示し、流れにめりはりを付けます。

人の多く集まる場所が、茶色の割が高くなることは、人の多さに伴う汚れを防ぎ、2階LDKでは、ホームシアター利用時に壁に映像が反射するのを防ぎます。

耐震性の確保
改修にあたり、すべての壁は、土台、柱、梁に12mmの構造用合板を打ち付けました。家全体で必要量以上の耐震性を確保しました。

 

所在地 千葉県市川市

延床面積 251.74m2(76.2坪)

構造 木造2階建て

構造設計 大賀建築構造設計事務所

設備設計 明野設備研究所

施工 幹建設

 

展覧会・芸術祭
2017.10. 「リノベーション展」 (Ozone、東京、日本)

掲載誌、書籍
2015.01. 新建築住宅特集平成27年2月号
2016.03. Designers File 2016(ワークスコーポ゚レーション, 日本)

2階の若夫婦のLDKの様子。アンデスローズの茶色の壁と天井が、白い部分とアンサンブルをつくり出す。

玄関を見る。玄関の吹抜は、1階や2階のさまざまな部屋に面し、それぞれの部屋をつなげる場所となる。右側には靴を履くためのベンチ。

玄関は、アンデスローズの茶色の仕上がメインの落ち着いた空間。

玄関の吹抜を見る。アンデスローズの茶色は、30年以上使われていたクラシックな照明を活かす色となる。

玄関の吹抜を見下す。ペアガラスの窓の室内側には、2重のツインポリカーボネート板が入り、断熱性能を高める。

1階の音楽室兼図書室。ピアノを置き、友人を招いた小音楽会などが開かれる。濃茶色の本棚は、汚れを目立たなくさせ、本を浮かび上がらせる。

1階祖母の居間を見る。壁がずれながら、人を奥の部屋へと誘い込む。窓際には、書物机を設け、明るい光で、作業がしやすいようにしている。

1階祖母の居間を見る。茶色い壁は、テレビを置く際の背景や、絵を掛けたりする場となる。

1階祖母の厨房を見る。棚の中は、籠式の収納などで、収納力を高めるつくり。他の水回り、勝手口がサーキュレーション動線でつながる。

1階個室。一人で過ごす個室は、白を主体とした仕上となり、明るく光にあふれて過ごせる。

1階の水回りスペース。茶色のアンデスローズと白色の仕上が、複雑に重なり、アンサンブルをつくり出す。

2階の吹抜に面した階段スペース。左手は、若夫婦のLDKに続き、右手のガラスの向こうは、水回りのスペースとなる。

2階の若夫婦のLDKはホームシアターも兼用。音の反射を抑えるために、天井には、吸音効果のある木毛セメント板を設置している。

2階の若夫婦のLDKから書斎を見る。壁や家具が、少しずつずれながら配置されて、奥へ人を誘い込む。

2階厨房のL型部分を見る。居間と、胸の高さの間仕切で仕切り、厨房内部の様子を隠しながら、居間とつながる。

2階の若夫婦のLDKの天井。音の反射を抑えるために設置された、吸音効果のある木毛セメント板の詳細。