「小さな全世界」モルディブの島(モルデイブ)

たまたま行くことになったモルディブ。大きな期待もせずに、行ってみれば、人がこれだけ訪れる場所には、それだけの魅力があることを実感しました。

一つの島に一つのリゾート。歩いても一周20分から、大きい島でも1時間程度。そこに、滞在に必要な施設がパッケージングされ、ビーチもリーフも、熱帯魚の回遊するリーフエッジの断崖も、歩いて、そして、泳いですぐです。世界は、一人の人間が、容易に把握できる大きさです。

太陽が水平線から上がる日の出の瞬間も、水平線に落ちる日没の瞬間も、部屋から数秒、数分の距離で見ることができます。島は、地球の持つ朝から晩までの光の変化、風の速度を、ダイレクトに映し、自分が世界とともにあることを体感します。

それが小さな島の生態系なのか、それとも開発の結果なのか、植物相も動物相も驚くほど薄く、未踏の部分や未知なる自然など、不安を掻き立てるものは存在しません。四方を海に囲まれているから、海賊でも来ない限り、得体の知れない第三者に侵入されることも、物売りに囲まれることもありません。島にいるのは、一島一リゾートのホテルがオーソライズしたゲストとスタッフだけ。そのスタッフも、モルディブの国民性なのか、イスラム教によるのか、穏やかで控えめ、規律正しい人たちです。

あらゆる未知なるものは遠ざかり、警戒心や不安感から解放された状態の中で、世界を掌握し、世界と一体になった気分を味わえる場所。そのリラックスの本質のような感覚が、大陸や大きな島のリゾートとは違う、モルディブの魅力です。

旅行者にとって、それは、錯覚のような、一時だけの時間で、1週間後には、警戒心に満ちた世界に戻らなければなりません。そして、このリゾート自身も、食料や燃料、資材の上では、自律できず、実際には、大きな世界の一部です。

美しい砂浜も、海蝕によるのか、新しい砂を補給して維持している状態です。船を通すために掘削された水道から、大量の砂が、外海に流れ出るのを見ると、人工的に維持しない限り、存続も危ぶまれるようです。

冷めた目で見れば、それは虚構でしかないし、もしかしたら、今の地球には、虚構でしか、こういう場所は残っていないとしても、モルディブの島々を訪れた者は、かつての原型を夢見る最上の虚構を感じ取ることでしょう。

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交通
首都のマーレ空港から船、または、飛行機。

参考文献

Upload 2007.10

Update 2010.06

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Photo by Daigo Ishii