セレンディピティーの島(全土、スリランカ)

『昔、東洋のセレンディッポの国に、一人の偉大で権力のあるジャフールという王がおりました。王には三人の息子がありまして、賢く情愛にあふれた父親として、いずれ息子たちを大きな権力を持った領主にしてやらねばならないと思っていました。しかし、王はさらに、君主に求められるあらゆる美徳も彼らにそなうようにしようと決心しました。』(『セレンディッポの三人の王子』クリストフォロ・アルメーノ著、徳橋曜監訳、角川学芸出版からの引用)

これがかの有名なセレンディピティーの物語の始まり。王は、修練のために、三人の王子たちを旅に出し、物語が動きます。

セレンディピティーとは、偶然に「ものをうまく見つけ出す能力(プログレッシブ英和中辞典、小学館)」のこと。といっても、王子たちは、ただ運がいいだけでなく、予め、修練を積んで、人並み外れた才知を手に入れていたからこそ、偶然の機会を幸運に変えることが出来たようです。

セレンディッポは、ペルシャでのスリランカの呼び名。セレンディッポを舞台にしたペルシャの民話が、16世紀にベネチアで出版され、やがてイギリスに伝わりました。それを元に、1754年、オックスフォード伯爵ホレイス・ウォルポールが、手紙に、はじめてセレンディピティーという造語を用い、20世紀になって広く使われるようになりました。遡れば、語源は、スリランカというこの島自身だったのです。

セレンディピティーを探すのに、スリランカはふさわしい場所でしょうか。

中央の山脈の影響で、南北300キロ、東西200キロの小さな島とは思えないほど、気候が多様です。それは、言い換えれば、さまざまな風景に出会えるチャンスがあるということ。島の東側が乾季なのに、山を挟んだ西側は雨季というめまぐるしさ。世界遺産に指定された熱帯雨林があるかと思えば、中部には、サバンナのような乾燥地帯が広がります。数時間山道を行けば、イングランドの初夏のような涼やかな中央高地となり、暑さに疲れたからだにやさしいことといったら。

宗教の多様性も忘れてなりません。仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教が、小さな島で活発に共存しています。ヨーロッパの植民地主義が元凶であり、それが、今も民族問題として、尾を引いているとしても、異なる文化の共存は、新しい可能性をつくりだす力になるかもしれません。

何だか、セレンディピティピーを身につける旅には、うってつけの場所に思えませんか?

さて、旅に出た王子たちのその後は?

『いちばん上の王子は王国を受け継ぎました。新王は、非常に思慮深い家臣たちに支えられながら、家臣たちにも大きな喜びを与えつつ、末永く国を治めました。第二王子は、−中略ー(インドの国の)女王に連れ添うべく、女王の国に赴き、女王と交わした約束に従ってこれを妻に迎え、王国の主となりました。
 ところで、(旅の途中で助けた王)バフラームは受けた恩義を忘れていませんでした。バフラームには娘が一人ありましたが、しばらくした頃、この娘を妃にやろうと第三王子のもとに申し入れて来たのです。王子はこれを受け入れて、−中略ーバフラームの宮廷に戻りました。そこで盛大に婚儀が行われました。そして、その後まもなく、舅であるバフラームがみまかると、王子は、その帝国全土の支配者になったのでした。』(前掲からの引用)

めでたし、めでたし。

そう、スリランカに来れば、こんな風に幸運に出会えるかもしれません。王子たちのように、ある程度の英知を、飛行機搭乗前までに、習得する必要があるとしても・・・。

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参考文献
「セレンディッポの三人の王子」(クリストフォロ・アルメーノ著、徳橋曜監訳、角川学芸出版)

Upload 2008.08

Update 2010.06

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Photo by Daigo Ishii