キャンディの古寺-4:仏歯寺-2(キャンディ、スリランカ)

世界遺産ですが、仏歯寺は、よく分からない建築です。17世紀につくられた本殿はともかくとして、本殿奥の博物館棟はタイの援助で、本殿上部の鉄骨造の覆いは日本の援助で、近年整備されたようです。古くからの建築の集合体というよりは、いろいろな時代につくられた部分が、全体の連続性を考えず、次々と足された印象です。

信仰の篤い仏教国では、建築史的な価値で、昔のままに残すよりは、お金が続く限り、つねに飾り立て、塗り直し、手を加えることが、信仰のバロメーターとなっています。その寺院が、人々の中に生きていればいるほど、更新されるのは仕方ないし、この仏歯寺は、その中でも最高峰に位置しているのです。

そういう、時間とともに重ね塗りされた人々の信仰の篤さを読み解くことが、仏歯寺のおもしろさかもしれません。それでも、1980年代、桃色に塗られていた仏歯寺の写真を見ると、そこまでやるのか、と戸惑いました。

豊かな彫刻や装飾は、スリランカの伝統工芸や、スリランカ文化のモチーフが一堂に会したかのようです。特に、本殿の彫り物や壁画は、色褪せているものの、日本の桃山時代の建築のように絢爛豪華です。外回りの飾り方の密度は、スリランカの他の寺院の仏殿とは、明らかに違います。それは、本殿が、建築というよりは、仏歯を納めた仏舎利のための容器-大きな厨子として、造られたからではないかと推測しました。

キャンディ王国は、外国が勢力を伸ばす中、19世紀初めまで続きました。絢爛豪華な本殿の出現した時代が、長い乱世が少し落ち着いた時期というのも、桃山時代と共通するようで、おもしろく感じます。

本堂の北側にあるのが、王の集会所Mangul Maduwaです。外周部を2列の柱で囲まれたオープンな空間は、エンベッカ寺院と同じ形式ですが、広さも、高さも、はるかに大きいものです。その大きさが、王の施設たる由縁なのかもしれませんし、離れて見ると、中折れ型の屋根のシルエットが、特に品を漂わせる建築です。

しかし、いざ内側に入ると、どこか落ち着きません。エンベッカ寺院に比べると、単調な柱が繰り返すだけで、その柱も、間隔や高さが人間のスケールを超えています。その上、これだけオープンだと、居場所が見付からず、自分が小さく感じられて、居心地が悪いというところでしょうか。それもまた、王の権威を示す建築が意図したものなのかもしれません。

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参考文献
地球の歩き方「スリランカ」(ダイヤモンド・ビッグ社、2007)
世界遺産No.93 聖地キャンディ(講談社、2006)
Buddhist Monastic Architecture in Sri Lanka (A. Senneviratna + Benjamin Polk, Abhinav Publications, 1992)
Lonely Planet Guide 'Sri Lanka' (Lonely Planet Publication, 2006)

Upload 2007.12

Update 2010.06

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彫刻や装飾のディテール

王の集会場

Photo by Daigo Ishii