ジェフリー・バワの建築:ルヌガンガ−1(ベントタ、スリランカ)

敷地の制約も、時間の制限もなく、資金の余裕もあり、誰からも口出しされずに、建築をつくることができたら、それは、最高のことでしょうか。それが、バワ自身の別荘、ルヌガンガを回っての最初の印象です。

実際には、一時的に資金が欠乏したこともあったようですが、1948年に始まった工事は、つくり、つくり直し、新たに加えるの繰り返しで、結局バワの死まで、50年続きました。

理想郷とは、何ものにも縛られず、何ものからも自由ということであるならば、自分の快楽のために、ルールに縛られず、最適な形を求め続けたルヌガンガで、バワは、まさに、自身の理想郷をつくろうとしたのかもしれません。

自然のままに見える地形や森も、土を切り崩しては盛るの繰り返しで生まれた、バワがバワのためにつくった理想状態の自然です。

しかし、それは、あくまでも彼にとっての理想郷。第三者から見ると、他人の脳に入り込んだような戸惑いがあります。すごいとは思うけれど、いいのかどうかは、簡単に判断が着きません。

高台と、湖面沿いの平地から成る地形全体が、回遊式の庭園になっています。イタリアのバロック庭園と、イギリス式風景庭園を組み合わせたようなつくりです。

高低差による視線の高さの変化、豊かなランドスケープの中をさまよい動く園路による千変万化の眺望、木々のつくる明暗のリズム、開いたり閉じたりを繰り返す視界、それらが、絶え間なく移ろう風景を生みます。見事です。

その間に点在する、東屋、園亭をはじめとする建築も、それぞれ際立ったデザインで、視覚的ポイントとして、メリハリを生みます。

趣向を凝らした園亭建築は、古今東西ありますし、ルヌガンガの建築を、園亭としてひとくくりにすれば、庭園の一要素と説明が付きそうです。しかし、いくつかは、点景としての、単なるオブジェの役割を超え、かなり具体的な機能を想定した本格的建築だから、厄介です。

母屋、ゲストウィングなど、高台の中央に立つ建築がそれです。さまざまなボキャブラリーが、複雑に豊かに組み合わされています。

ゲストウィングは、大きな吹抜と張り出しを持つ静かな建築。おそらく、意図的に、色を剥落させ、過ぎ去った時間を空間に定着させようとしたようです。4方向に異なる形式の窓を持ち、そこから見える風景の質も違えています。それを背景に、コレクションを飾ったサロンが1階に、低い天井の寝室が2階に置かれています。

母屋は、いちばんの高台に立つ建築。小さな部分が連結して一つになる間取りのため、庭を動くに連れて、同じ建築とは気づかないほど、いろいろな外観が現れます。全体を一度に見渡すポイントがないため、大きく感じませんが、実際には、住宅として十分な広さを有しているようです。内部は、部分的な公開ですが、コロニアルのエッセンスを残したモダンな空間のようです。

ギャラリーは、崖状の地形をわざわざ選んだのか、地形までも意図的につくったかは、分かりませんが、崖の上の広間と、一層ほど低い広間を、階段と段状のフロアーが結びます。北欧的な静かでシンプルなモダニズムの空間が、階段を下りると地中海的な明るい空間に反転します。

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交通
ベントタの中心部から車で20分程度。

見学
5月から10月までは一般公開。入館料1500RP。11月から4月までは、ホテルとして営業するので、見学は不可。

宿泊施設のリスト
Lunuganga

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参考文献
Geoffrey Bawa the Complete Works (David Robson, Thames & Hudson, 2002)

Upload 2008.07

Update 2008.09、2010.06

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母屋

ギャラリー

Photo by Daigo Ishii