スリランカの付録-1:屋根瓦工場を社会科見学!(西海岸、スリランカ)

スリランカの屋根を彩る赤瓦。その産地が島の西海岸、ニゴンボからムネスワラムに至るあたりです。良質の土が、近くで採れるのが理由だそうです。

工場といっても、機械による近代化された大量生産の工場とは大違い、昔懐かしい手作りの工場です。

場内にストックした土を手押し車で運び、それをおかあさんたちが、おおよその四角形に固めます。それを順繰りに、型出し機の中に通すと、あーら不思議(でもなんでもないけど)、瓦の形になって押し出されます。機械と言えばたったこれだけ。その機械も電気を使う訳でなく、人力でレバーを回して押し出すというローテクです。

そうやって生まれた瓦の候補生を、棚で、しばらく影干しします。工場の中央、床から2階の天井ぐらいの高さまで、そびえ立つような棚に、ぎっしりと積み上げられ、真下から見上げると、不安を感じるほどの重量感です。一体、どうやって高いところに揚げるかと言えば、身軽そうな若者が、棚に足を掛けて登って行くのです。これもローテク。

そして、次が、窯入れ。棚の間を抜けて行くと、その向こうに窯が並んでいます。瓦を詰めると、口を土でふさぎ、火入れの開始です。不揃いで、曲がりの強い薪が、窯口で、焚き付けを待っています。土は、何度も繰り返し利用し、薪は、間伐材か雑木のようだから、これも環境に優しいというところでしょうか。

すべての工程が、原始的で、だから、無駄にエネルギーを消費せず、エコロジカル。そして、使う材料も地場のもの。そんな作り方で出来上がった製品は、大量生産とは対照的に、一つ一つに微妙な違いがあり、味わい深い。

第3世界の国々ではよくあること、と言ってしまえばそれまですが、背伸びをして、機械を新調し、急拡大する訳でもなく、ほどほどのところで維持して行く。彼らがそれに満足しているかどうかは別ですが、周回遅れだったはずの、こういう、無理をしない持続が、今では、トップランナーに見えて来る時代になりました。

時代の風潮が変わるたびに、カメレオンのように転換して行く先進国の人間に比べて、彼らは、流行りにも乗らず、流行りがどんな風になっているかも考えず、ただ、これまでのペースのまま今日へ至り、これからもさして変わらず、このペースのまま生きていくのでしょう。そういう生き方こそが、実は、今の時代のトップランナーたるにふさわしい資格なのかもしれません。

工場の柱には、マリア様が飾られていました。ここも、ニゴンボ同様、キリスト教徒の優勢な場所なのです。

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交通
ニゴンボからムネスワラムの間の地区。

見学
無料だが、案内役の工場のスタッフに心付け。

参考文献

Upload 2008.07

Update 2010.06

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Photo by Daigo Ishii