12ヶ月の東京 - 3月 桜の花見
(東京、日本)

春が近づくと、天気予報の主役となるのが、桜の開花予想。亜熱帯に属し、桜の種類が異なる奄美、沖縄地方は、開花が2月と早すぎるため、あっさりとした扱いですが、九州から北海道に至る地域では、3月25日前後の四国は高知から、5月20日前後に開花する北海道は稚内まで、2ヶ月掛けて桜が北上し、熱を帯びる天気予報の桜前線レポートとともに、どこかうきうきして来るのも日本人ならでは。

気象庁のデータによれば、東京の開花日は、2000年以降、3月16日から3月31日の間、そして、満開日は、3月21日から4月7日の間。学校の卒業式と入学式、そして、会社の入社式の時期と重なるために、東京に暮らしていると、桜の花は、人生の節目や大事な思い出と、しばしば深く結びついて行きます。

日本全国津々浦々、花の名所いろいろあれど、他の花と違い、桜が特別なのは、日本の町のほとんどに、桜の名所があると言っても過言でないこと。ただし、大抵は町に1、2箇所のところ、京都と並び、東京が別格なのは、その名所の数。江戸開府以来400年、人口も町の規模もずば抜け、そして、現在の日本の桜の主流、ソメイヨシノの発祥の地であるからか、さまざまなタイプの花見が楽しめます。

1つ目は公園型。小金井公園、砧公園、井の頭公園のように、大公園に桜を面で植え、花見の宴会やピクニックで賑わいます。グループや家族向け。

2つ目は庭園型。桜の本数は多くありませんが、歴史的な名庭園の一部に桜が植えられ、園庭と桜の取り合わせが見所です。場所柄、宴会はできず、少人数で散策し、茶店で休憩か、ちょっとしたお弁当持参で鑑賞する桜。浜離宮や六義園、新宿御苑など。

3つ目は遊歩道型。川や水路に沿って桜並木の続く公園や緑地で、敷地幅は狭く、間近の近隣への配慮から、宴会禁止のところもありますが、距離が長いため、桜を辿りながらの散策やジョッギング、サイクリングにお薦め。目黒川、隅田公園、善福寺川緑地、千鳥ヶ淵など。

4つ目は墓地型。墓地の参道や辻に桜が植えられ、東京の街中とは思えない、静かな、早春らしい雰囲気を味わえます。場所柄、宴会はできません。青山霊園、谷中霊園、染井霊園など。

5つ目は自然公園型。郊外の桜の山をハイキングするタイプで、高尾山や滝山城址など。

風景で分ければ、平坦型と山型、ランドスケープ型、水辺型でしょうか。山型は、郊外の高尾山や滝山城址。丘の緩やかな地形を取り込んだランドスケープ型は、上野公園や飛鳥山公園。水辺型は、池や川、水路を取り込み、水に映る桜の美しい井の頭公園、善福寺川緑地、千鳥ヶ淵などでしょうか。

そして、大都市ならではの特別な桜として、忘れてならないのが、夜の部。

大抵の公園はライトアップをし、庭園も夜間の特別公開をしていますが、夜景の美しさだけでなく、昼以上に濃密になる宴会までセットアップした名所となると、上野公園と井の頭公園に勝る場所はありません。どちらも、繁華街のすぐ近くなので、アクセスや飲食の仕込みにも便利で、週末は、空き地が見つからないほど。東京では、入社や入学と重なるために、花見の宴会のための場所取りが、新入社員や新入部員の初仕事となる企業もあり、それが高じて、前日の夜から、寝袋持参で場所取りする下っ端もいます。そういう俗な部分も、また、桜なのです。

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Photo by Daigo Ishii