「赤の集落」吹屋の街並02(高梁、岡山、日本)

街並の第一印象を決めるのは、朱色の石州瓦。平入りの民家を交えるものの、妻入り形式の民家が多いため、街道を歩いて行くと、大きく立ち上がる瓦屋根が、視線に直交するように立ち現れ、視界を大きく支配します。

微妙な焼きむらと風化の度合いで、緑掛かった朱色から、海老紫色まで、瓦の色は微妙に変化し、繊細な表情をつくります。さらに、日の角度で、色や光沢は移り変わり、特に、西日が強くなると、朱が、いっそう上がって来ます。

ファサードは、白漆喰による塗込造、ベンガラを混ぜ合わせ、橙や紅に色出しした土壁、ベンガラで赤く塗られた板壁や格子、白黒のなまこ壁を組み合わせ、さまざまなパターンを豊かにつくり出します。そして、ところどころに掛けられた、ベンガラ染めの暖簾。

ファサードも、また、赤が優勢で、際立っています。

建築や街並の質だけでなく、日本の伝統的集落の持つ赤の意匠が一堂に会した特別な場所、それが吹屋です。

ただし、「備中吹屋」の著者、高原一朗氏によれば、現状のベンガラ壁は、近年の改修の際に、歴史的考証に基づかず、塗り変えられたものが、かなりあるそうです。

それにしても、これだけ山深い場所に、忽然と現れる豪勢な商家風の街並。ベンガラというものが、いかに特別な製品であったかを、そして、富というものが、例え山中であろうとも、場所を問わず、街並に移し替えられる時代のあったことを伝える例です。

昭和に入り、新しいベンガラ製造の工法が開発されると、吹屋の優位は崩れ、街も衰退して行きました。

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交通:岡山駅から備中高梁駅まで、JR西日本伯備線の特急で35分。備中高梁駅から吹屋まで、備北バスで1時間。

または、岡山から車で2時間。

備北バスのリンク

参考文献:

「備中吹屋」(高原一朗、山崎泰雄、山陽新聞社、1993)

リンク:吹屋ふるさと村のリンク

Upload:2009.05

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Photo by Daigo Ishii