フェニックスのアールデコ建築 - 4:
フェニックス市+マリコパ郡合同庁舎、ウェストワード・ホー
(フェニックス、アリゾナ、アメリカ合衆国)

最後は、フェニックス市+マリコパ郡合同庁舎(1928年、設計:Edward Neild)。これは、アールデコというよりは、プエブロ・デコ

連続アーチや、大きな瓦屋根、ラスティック仕上げの基壇部は、 ミッションリバイバル様式に片足を突っ込んだ印象ですが、近づくと、デコらしいディテールが目に入ります。入口のフェニックス像や、とうもろこしの茎がモチーフの、緑と白の窓の方立て。とうもろこしは、それを豊饒の象徴とする、アメリカ・インディアン、ホピ族につながります。

付録に、アール・デコではありませんが、ちょっと気になる、ウエストワード・ホー(1928年、設計:Louis L. Dorr)をご紹介。

豪華ホテルでしたが、2004年に老人ホームに改修されました。スペイン風コロニアルのリバイバル様式の建築と、1949年に立てた屋上の電波塔の対比が、なんかいいのです。建物はシンメトリーなのに、電波塔が偏芯。帽子が、風に揺れているようなユーモラスな風貌です。電波塔を外すと、意外といかめしそうで、不思議なバランスが、暗くなりがちな老人ホームには、絶妙です。

余談ですが、アルフレッド・ヒッチコックが1960年に発表した映画「サイコ」で、冒頭、カメラがパンしながら、映し出していくのが、フェニックスのダウンタウン。

当時、屋上に大きな看板を載せていたプロフェッショナル・ビルから、ラース・ビルまで、カメラが時計回りに動いて行きます。大きな電波塔が映るものの、位置からして、ウエストワード・ホーではありません。回り切ったカメラがズームアップするのは、ラース・ビル向かいの質素なビルの窓。その奥で、ジャネット・リー演じる主人公が、昼間の情事を楽しんでいます。ラース・ビルに気を取られて、向かいのビルには気付かなった!。残念。

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交通
フェニックスのダウンタウンから徒歩圏内。

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旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。

参考文献
"アールデコ展ーきらめくモダンの夢"(天野知香, 読売新聞東京本社,2005)
"The Geo. H.N. Luhrs Family in Phoenix and Arizona 1847-1984" (George H.N. Luhrs. Jr., Jean Stroud Crane, 1988)
"Pueblo Deco" (Calra Breeze, Rizzoli International Publications, 1990)
AZ Central.com
National Resister of Historic Places
Wikipedia

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フェニックス市+マリコパ郡合同庁舎 (1928)

ウェストワード・ホー (1928)

        Photo by Daigo Ishii