南西部の建築探訪 教会巡礼 - 2:サン・ハビエル・デル・バク教会 - 2
(ツーソン、アリゾナ、アメリカ合衆国)

室内は、南に面した入口を入ると、ドーム天井の繰り返す長い軸が、最奥の主祭壇まで続きます。祭壇は、中央に白衣に身を包んだ聖フランシス・ハビエル(ザビエル)が立ち、その上に金色のマリア像、そして、衝立の最上部から、小さな赤毛のキリスト像が半身を乗り出します。

祭壇手前の、もっとも大きなドームを交点として、翼廊が直交して設けられ、十字形をつくります。翼廊の両端も、主祭壇に劣らない、素晴らしい細工の祭壇で、西の突き当たりにはアッシジの聖フランチェスコを、東には聖母マリアを祀っています。

白く浮かぶドーム天井には、フレスコ画の聖人や天使が雲に乗ったように漂い、信者席の壁には、最後の晩餐のようなキリスト教における事件の場面を描いた絵が並びます。

それらをつなぐのが、天井に繰り返し現れる、スペインの聖地、サンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼のシンボル、ホタテ貝のイメージであり、柱の上部を回る、フランシスコ修道会の僧衣の紐の象徴である房飾りです。

辺境につくられた初期の教会には、材料や技術を地元で調達するにも、限りがあったようです。先住民が建設に関わる一方で、主要な彫像は、植民地の中心の一つメキシコに発注し、壁を鮮やかに彩る赤と青の塗料には、ヨーロッパからという説もあるそうです。

注意深く見ると、精巧に細工された彫像の一方で、祭壇の浮彫は少し粗く、柱やドームに施された彩色は、フリーハンドで揺れています。

第一印象では、この地の先住民が、キリスト教とバロックを彼ら流に解釈したローカル建築に見えましたが、さまざまな精度が同居する様には、ローテクの先住民文化と、新大陸の先進地だったメキシコや、もしかしたらヨーロッパまで広がる文化の重なりを感じます。

18世紀当時の地場の技量と最新技術、ローカルとインターナショナルが、巧みに融合した建築でした。

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交通
ツーソンのダウンタウンから車で約20分、空港から車で約10分。
ツーソンのダウンタウンから、公共バスシステムSan Tranで、Roy Laos Transit Centerへ行く。公共ミニシャトルバスSan Shuttleに乗り換えて、San Xavier Missionで下車。約40分。

Sun Tran
Sun Shuttle

リンク
Mission San Xavier del Bac

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旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。

参考文献
"San Xavier - The Spirit Endures" (Kathleen Walker, Arizona Department of Transportation, State of Arizona, 2009)

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サン・ハビエル・デル・バク教会 (1797)

        Photo by Daigo Ishii