コギ族の集落
(シエラ・ネバダ・デ・サンタ・マルタ、コロンビア)

ー雑誌に掲載したものからの転載ー

「あなたのスペイン語は下手だから、この先へ行く許可を与えられない。」副酋長が、白馬の上から言った。4日目の朝だった。前夜、話があると言われたので、希望を伝える文章を練ったが、返す間もなく、走り去った。理由は何でもよかったのだ。

ここは、コロンビア北部、コギ族の村タビアカ。麓から徒歩2日、最後の開拓者の家からでも7時間、山道を上り下りして着いた最初の集落だ。山の最奥の集落まで行く計画だったが、コギ族の許可を得るため、すでに3日逗留していた。一度だけ、近くを散歩できたが、半ば幽閉されていた。そして、この朝、門は閉じた。

日を追うに従い、近づいてくる大人も減り、大抵は交流の糸口となる子供たちも、無反応だった。見えない指示が村を覆う。帰ることが決まり、小屋の外に、置き土産の折り紙を置いた。そして、暫く。床に白いものが投げ込まれ、子供たちが走り去る。ちぎれた折り紙だった。彼らの答えだ。

「閉じること」は、かすかな悲鳴であり、意志であり、力である。政府の小さな学校もあるし、あるかなしかの音量でサルサも聞こえた。少しずつ文明が浸透している。だからこそ、7時間の距離や、昔ながらの生活、頑なな態度が必要なのだ。

「この川から先がインディヘナの土地です。」案内人のリカルドが話した。タビアカへ向かう往路でのことだ。高い梢、下草に覆われた地表、深い森を一筋の小川が横切って行く。清澄とした流れだった。

その川の幅は、とても狭く、とても広い。

(注)南米のスペイン語圏では、インディオは差別用語として使われず、先住民を意味するインディヘナIndigenaが使われています。

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交通
サンタマルタからミンゲオまでバスで2時間、ミンゲオから最初のコギ族の集落まで徒歩12時間、または、悪路走行可能な車で1時間+徒歩8時間。

コギ族のエリアは保護地域のため、入域には、サンタ・マルタの先住民管理局Inderenaから許可を取る必要があり。許可を取るためには、政府のライセンスを持ったガイドが同行することが必要だが、コギ族のガイドであれば、ライセンスを持っていなくても、許可される場合があります。コギ族のエリア内では、更に、コギ族の村の酋長など、幹部から、域内を通行する許可を受ける必要あり。

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        Photo by Daigo Ishii