カタラガマへ - 1:
カタラガマへの道
(ヒルカントリー+南部、スリランカ)

スリランカの人々にとって、カタラガマは特別な聖地です。どんな望みでもかなえるというカタラガマ神を祀っており、御利益のため、国中から人が集まって来ます。ヒンドゥー教色の強い聖地でしたが、宗教の垣根を超えた聖地としての整備が進み、仏教徒、イスラム教徒も多く集まる地となりました。

7月の満月の日から8月の満月の日までを、スリランカ特有の暦、シンハラ暦ではエサラ月と呼び、各地で大きなお祭りが開かれます。後半に開かれるキャンディのペラヘラ祭と並び、もっとも盛大なお祭りが、前半に開かれるカタラガマのペラヘラ祭です。この時期、カタラガマには、ふだん以上に人が押し寄せて来ます。

7月の週末、ヒルカントリーから南部の低地にあるカタラガマまで車で下りて行くと、ヒルカントリー東部、標高1200mのバンダラウェラを過ぎるあたりから、屋根にたくさんの荷物を載せたボックスカーやバスと、次々とすれ違うようになりました。カタラガマの参詣から戻る車です。

道中の大きな滝や湖は、水浴や水遊びの人でにぎわい、大樹の下では、釜を出し、火をおこして調理をし、家族や仲間が食事を囲んでいます。

スリランカ島は、いちばん長いところでも300キロほどの小さな島ですが、道路事情が悪いため、移動に時間が掛かります。山がちなヒルカントリーを通れば、蛇行やアップダウンが、更に速度を落とします。島の南端に近いカタラガマに行くということは、日本で300キロを移動することからは想像できないぐらい、遠い場所に行くことであり、一大旅行です。家財道具を載せ、おそらく数家族が相乗りして、数日掛けて、カタラガマに行き、数日掛けて、故郷に戻って行くのでしょう。

といっても、深刻な悩みのために向かう人を除けば、この旅は苦行というより、滝や湖の名勝で涼を取り、沿道の名所旧跡を訪ねながら、カタラガマ神に直接、願を掛けに行く、心待ちにしていた夏休みに違いありません。カタラガマへの旅は、きっと、スリランカの人々が、スリランカの風物や文化に直接触れ、スリランカ世界を学び、共有するための、大事な機会となっているのでしょう。

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交通
バンダーラウェラからカタラガマに向かう街道沿い。バンダラウェラからカタラガマでは、車で3時間半。

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Kataragama

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カタラガマへ向かう街道沿いの風景

        Photo by Daigo Ishii