カタラガマへ - 3:
カタラガマのペラヘラ祭
(カタラガマ、スリランカ)
夕暮れ近く、マニック川を渡る橋には、大勢の人が押し寄せ、身動きが取れませ ん。7時から始まるお祭りのパレードを見るために集まった人々です。イルミネ ーションも点灯し、森も華やいで来ました。
パレードは、寺院の門が出発点で、そこから陸上のトラックのように、花道が森 の中を一周しています。終点近くの特別席を除けば、花道際の地べたが客席で、思い思いに観客が陣取 っていました。 こういうときに国民性が露呈してしまうものですが、スリランカの人たちは、 穏やかに、大騒ぎすることもなく、パレードを待っています。さすが!!。
7時の予定だったパレードが始まったのは、8時過ぎ。火の輪使いのグループが 先陣を切ると、時々、飾り立てられた象を挟みながら、多種多様な民族舞踊が、次から 次へと繰り出します。柔らかく身体をくねらせながら、リズミカルに踊っています。ちょっと官能的ですが、節度があって、健康的なのが、きっとスリランカ流。踊り手は、近在の村人のグループもあれば、遠くキャンディから来た舞踊学 校の生徒のグループもあるそうです。音楽もグループごとに、ドラムバンドから 鼓笛隊まで、さまざまで、スリランカの伝統文化の百貨店、といったところです。
みんな、これを楽しみに遠路はるばる来たはずでし、花道に沿って、幾 重もの人垣ができていますが、なぜか、花道に囲まれた島の真ん中では、 人が寝ているのです。それも半端でない数が・・・。四方から響く踊りの鳴り物や、 観客の上げる歓声が聞こえないのでしょうか。彼らが気になって仕方がありません。
「お祭りを見に来たのではないんですか?」
そのうち目を覚ますだろうと思っていましたが、起きる気配なし。 早寝早起き、ふだんの健康的な生活習慣は曲げられないということでしょうか?
9時を回り、祭りはいっそう盛り上がり、やがて9時半、フィナーレです。背中 に仏舎利を載せた象が、しんがりに現れました。お祭りの観衆はばらけて、 みんな、花で覆われた仏舎利に向かって祈り始めます。本当に真剣な表情で、涙を浮かべている人 もいます。楽しいひとときのためだけに、カタラガマにやって来たのではないのです。それまでの楽しいショーを見るような雰囲気は、紅白歌合戦の後の除夜の鐘のように、おごそかというか、清々しい空気に変わって行きます。
そう思いながら、島の真ん中を見ると、おやすみ中の人たちは、やっぱり、ぐっすり眠り込んだまま。
「クライマックスぐらい起きましょう!」
祭りは終わりました。風も涼しくなって来ました。今夜は、ぐっすり眠れそうです。
交通
コロンボからバス、車で9、10時間程度。
リンク
Kataragama
宿泊施設のリスト
Kataragama Rest House
Mandara Rosen
旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。
参考文献
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2008.01 日本語版の文章、写真+英語版の写真
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2010.06 写真の変更
2018.01 日本語版の写真+英語版の文章、写真
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カタラガマのペラヘラ祭 午後6時
カタラガマのペラヘラ祭 午後8時
カタラガマのペラヘラ祭 午後9時
カタラガマのペラヘラ祭 午後9時半
Photo by Daigo Ishii