今まで訪れた町でもっとも住み良さそうな街はどこか、と聞かれれば、その筆頭の一つが、オスロです。
オスロには何があるのか。正直、観光の目玉は、野外建築博物館くらいで、街並が際だつ訳でもなく、大きな文化や商業の集積もありません。その魅力は、町の適度な大きさと、心地よいふつうさです。
人口は50万人程度。メキシコ湾流と、フィヨルドの奥に位置する地理的条件のため、緯度の割には暖かく、目の前に海、背中に山、というランドスケープに恵まれています。それを実感するには、地下鉄に乗ること。中心街を出ると、すぐに地上に顔を出し、それからは一駅ごとに10mずつ高度を上げて行きます。30分も乗れば、海を見下ろす標高200mの住宅街、そのすぐ先の終点はスキー場。地下鉄というよりはむしろケーブルカー。
電車に10分揺られれば、戸建ての住宅街。大抵の住宅街は、適度な大きさの敷地に、敷地面積からしても、割とこぢんまりとした家が並びます。高い垣根や塀で仕切らず、広々とした土地にのんびりと家が点在し、オープンな社会構造がそのまま街並になったような住宅街です。家のデザインはばらばらですが、適度な距離が中和するのか、うるささはありません。
勿論、Homans Byenのように、敷地の大きな高級住宅街もありますし、集合住宅も、高級コンドミニアムからふつうの公営までさまざま、フィヨルドの水面に面した住宅街もあれば、山の急斜面の住宅地もあります。それらが、階層に合わせて、地域を棲み分けているというよりは、ふつうの住宅街も含めて、結構、いい加減に、近接しながら混ざり合っているのも、オスロの特徴。社会の水平性や寛容性が、住宅地配置にも映し出されているようです。
各人が勝手に暮らしているのに、不思議と居心地がいい、という微妙な距離の取り方は、オスロにとどまらず、ノルウェーの社会自体の性格にも通じるように思います。
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交通
Oslo中心街から地下鉄で10分のSmestad駅周辺がお薦め。
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