フェニックスのアールデコ建築 - 1:
ラース・タワー
(フェニックス、アリゾナ、アメリカ合衆国)
フェニックスで、アールデコの摩天楼に出会いました。
1925年、 パリで開かれた万国博覧会を機に、それから10年あまり、世界中を席巻したアールデコ。アメリカに渡り、特にニューヨークでは、高層建築のデザインに競って採用され、華々しいランドマークが生まれました。
そこから2500キロ離れた砂漠の小さな町にも、その波は届いていたのです。
今でこそ、市の人口は160万人ですが、1930年当時は、3万人、都市圏でも15万人。21世紀になっても、高層ビルが多いとは言えないフェニックスのダウンタウンだから、80年前は、土地なんてそこら中にあり、上に伸びる必要もなかったでしょうに、3棟のアールデコの高層ビルが現存し、他にも小作品が残ります。経済的必然よりは、新しいデザインの持つ商業的付加価値が理由だったのではないでしょうか。
一つ目は、トロスト&トロストの頁でも紹介したラース・タワー(1929年、設計:Trost & Trost)。その後、半世紀近く、町でいちばん高い建築としてフェニックスに君臨した14階建てのオフィスビルです。
階段状にセットバックするボリュームや、垂直を強調したファサードは、アールデコの摩天楼の特徴ですが、頂部の緑色の装飾や朱色の瓦屋根は、南西部に縁の深いコロニアルのモチーフで、そのあたりから、アールデコと南西部の文化が融合したプエブロ・デコとも呼ばれます。
そして、エントランスロビー。ドア越しに眺めただけですが、天井には、コロニアル風の木梁が掛かり、複雑な文様で塗り分けられています。塗装は、アメリカン・インディアンが行ったそうで、先住民との具体的なつながりも見え隠れします。
今のフェニックスのスカイラインでは、高さは追い抜かれたものの、紅色をかすかに含んだ白いスタッコの肌と、美しいシルエットは、他を寄せ付けません。
交通
フェニックスのダウンタウンから徒歩圏内。
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旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。
参考文献
"アールデコ展ーきらめくモダンの夢"(天野知香, 読売新聞東京本社,2005)
"The Geo. H.N. Luhrs Family in Phoenix and Arizona 1847-1984" (George H.N. Luhrs. Jr., Jean Stroud Crane, 1988)
"Pueblo Deco" (Calra Breeze, Rizzoli International Publications, 1990)
AZ Central.com
National Resister of Historic Places
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