作品 INDEXに戻る

←前の作品へ         次の作品へ→

←前の住宅作品へ    次の住宅作品へ

小学校の桜並木に面して立つ住宅。

桜とここに住む家族の距離感を近づけ、環境と生活が一体に結び付いた家をつくろうとしました。

地階、1階、2階のそれぞれの階から桜が見えます。その風景を魅力的に見せるために、桜を見る4つのシーンをデザインしました。特に、2階の居間では、梢の中に浮かぶような感覚を味わえるように、空間をつくっています。

各階ごとに仕上を変えています。それは、高さ方向の広がりを意識させる仕掛けです。それはまた、桜を見る高さの違いも感じ取らせます。

地下扱いの半地下とすることで、容積率の緩和の対象となり、実質的な延床面積が増えている。

 

所在地 東京都小金井市

延床面積  119.1m2  

構造 鉄筋コンクリート造+鉄骨造地下1階2階建

プロデュース 山本卓男/ヒューマンクリエーション

構造設計 大賀建築構造設計事務所

設備設計 明野設備研究所

設計協力 加藤弘行、根岸資之

施工  本間建設

 

掲載誌、書籍
2004.10. 新建築住宅特集平成16年10月号
2006.04. ファインスチール
2007.07. 優秀建築選2006
2007.07. 2000 Archtiects (Image, オーストラリア)
2008.05. Architects, Designer 07 (Art Index, ロシア)
2008.10. 1000 Interiors (遼寧科学技術出版、中国)

 

外観の夕景。鉄筋コンクリート造の半地下の上に、鉄骨造が2階分載っている。

外観の昼景。北側に桜並木があり、緑の濃い時期には、マットな黒の壁が、木々の色と響き合う。

1階の窓の下には、通風用の換気口を設け、窓の先には、すだれが掛けられる小庇が付き、夏の日差しに考慮している。また、2階のベランダの先にも、すだれが吊せるような掛け金が付いている。

北側には、水路を挟んで、桜並木がある。2階のテラスは、花見の場となる。ベランダ天井の開口は、屋根の点検のため。

この家には、桜を見る4つのシーンが用意されている。
Scene-1  玄関を入った廊下を進むと、大きな窓一杯に桜が映る。室内とテラスの仕上を同じにし、内外を連続させ、屋外の並木道を歩くような近接した距離感の桜を感じる。
Scene-2  廊下より半階落ちた地階から、先程の窓を下から見上げる。幹の下部はカットされ、梢の濃い緑が、より高く、より重量感を持って覆い被さるように迫って来る。
Scene-3  半階上がった家族の個室から見る。頭の高さまでの洋服箪笥から天井までが、折戸で開閉できる水平開口部。全開すると、長さ730cmの緑の帯が現れる。巻物のように、梢が細長く切り取られ、揺れる葉の様子や光の微妙な濃淡など、桜の気配に鋭敏になる。
Scene-4  2階は、梢の高さになる。南北とも、間口660cm×天井一杯240cmの窓が開く。室内とテラスの仕上を連続させ、内外の感覚を曖昧にした。両側に視線が抜け、風が抜けることで、北側の桜から、居間を経て、南の空までが一体になり、梢の中に浮かぶような効果が生まれる。

2階居間の様子。風景や光を映し出すように、白く仕上げ、全艶の天井には、緑が映り、梢の中に浮かんでいる印象を強める。北側の葉の生い茂った桜の並木は、周辺より温度が低くなるため、夏の無風時でも、居間に、樹木と回りとの温度差で、桜の並木に向かう微風を発生させる。

2階居間。北側は、桜の梢が間近に迫り、春には、花に包まれた雰囲気になる。ここから見る桜の風景が、Scene-4となる。撮影:山下トモヤス。

2階居間。南と北の両側にテラスを持ち、視線が抜けていくために、広々と感じられる。

2階居間の南側を見る。南北2面の大きな窓は、ペアガラスのため、冬の熱損失を抑える。一日中明るく、夏は、風の通りがいい気持ちのいい場所。

2階の居間から見る、Scene-4の春の初めの桜の様子。桜の薄い桃色が、全艶で仕上げた天井の上にも、映り込む。

2階の居間から見る春の宵の桜。家の壁に、桜を照らす照明を設け、2階の居間から、夜桜を楽しむことができる。撮影:山下トモヤス。

1階の個室を見る。左手の洋服箪笥の上部が、Scene-3の、折戸付きの細長い開口部となり、北側の桜の気配を感じ取ることができる。

1階個室の開口部越しに、巻物のように切り取られた桜並木を見る。2階は、シナ合板やパイン材で仕上げられている。

階段と廊下を見る。階による仕上げの違いがはっきりと見える。地階がコンクリート、1階が木質系材料、2階が白。

(左)地階から、1階の大窓越しに桜の木々を見上げる。 Scene-2。階段を上ったあたりからの桜が、Scene-1となる。撮影:山下トモヤス。

地階の多目的スペース。外断熱のコンクリート打放し。暖房は輻射暖房機で、コンクリートを蓄熱体として利用する。

地階の多目的スペース。半階高い位置にある窓から、桜の緑の樹影が見えます。地階から見る桜の風景は、Scene-2となる。

地階の多目的スペース。ツインポリカーカーボネートの半透明の折戸を開閉でき、季節の気候に合わせて、調整する。写真は、開放した状態。