青森のお祭り:えんぶり - 4
(八戸、青森、日本)

一斉摺りで、えんぶりは終了ではありません。

観光客向けに、公会堂でえんぶり公演が行われ、暗くなると市役所前でかがり火えんぶりが始まります。

しかし、八戸にもう一泊する余裕があるなら、見逃してならないのが、お庭えんぶりです。

お庭えんぶりとは,明治時代につくられた呉服商のお屋敷、更上閣の座敷で見るえんぶりのこと。

それぞれの村で、別々に行われていた時代、土地の豪農や有力者のお屋敷で舞を披露し、ご祝儀をいただくのが慣例でした。

宿のお母さんも、子供の頃、地元選出の国会議員の屋敷で、みんなで見たというから、明治14年の一斉摺りの開始を機に廃れた訳ではなく、戦後まで連綿と続いていたのでした。

それを再現したのがこのお庭えんぶり。庭に面した建具を取り外し、緋毛氈を敷いて、席が設えてありました。

かがり火が焚かれ、そこだけ白く浮かび上がる雪の地面を舞台に、やがて、舞が始まります。かつての金持ちは、こうやって小正月を楽しんだのです。とは言え、21世紀のお庭えんぶりでは、盃に注がれるのは甘酒で、肴はせんべい汁と、かなり質素です。

そして、かがり火だけなら、幽玄であろうに、人工照明で投光しているのも、ちょっと興をそぐところ。

それでも、そんなことを忘れさせたのが、地元テレビのプロデューサーの解説でした。その名調子で、えんぶりが、一通り理解できるようになること請け合いです。

さて、お庭えんぶりと並ぶ、もう一つの隠れた見所が、門付けです。

えんぶりの1週間、門付けに回るえんぶり組を、早朝の市場から夜の歓楽街まで、飲み屋に旅館に大店にコンビニと、そこかしこで見掛けることになります。

おや、祝福芸を演じる子供は、平日なのに、学校に行かなくていいのだろうかと気になった方、ご心配なく。八戸では、えんぶりの最中、門付けに回る子供は、出席扱いだそうです。

この町の懐は深い。

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交通
八戸駅からバスで20分(10分間隔)、十三日町、三日町で下車。

リンク
えんぶり(八戸市役所)
えんぶり(八戸観光コンベンション協会)

八戸市役所
八戸観光情報
八戸観光コンベンション協会

青森県観光情報サイト

宿泊施設のリスト
八戸市の宿泊施設

参考文献
"青森県の歴史散歩" (青森県高等学校地方史研究会編, 山川出版社, 2007)
"図説青森県の歴史" (成田稔・長谷川成一, 河出書房新社, 1991)
"郷土資料事典 青森県" (人文社, 1998)
"季刊あおもり草子第25号" (企画集団プリズム, 1985)
"えんぶり読本" (正部家種康, 伊吉書院, 1992)
"江戸時代ひとづくり風土記2青森" (農山村漁村文化協会, 1992)
"八戸市博物館 えんぶり展" (八戸市博物館, 2012)
"八戸三社大祭の歴史"(三浦忠司, 伊吉書院, 2007)
"八戸三社大祭公式ガイドブック"(八戸観光コン

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えんぶり お庭えんぶり

えんぶり 門付

        Photo by Daigo Ishii