弘前 聖と俗:桜の弘前の屋台
(弘前、青森、日本)

弘前の桜まつりは、200万人が訪れるだけあって、彼らの胃袋を満たす屋台の数も相当なものです。

全国どこでも定番のたこ焼きや焼きそば、焼き鳥と言ったものから、ご当地の黒こんにゃくや、つゆそば形式で有名な黒石焼きそば、青森名物のしょうが味噌おでんまで。どこでも見掛けるりんご飴も、弘前がりんご出荷量日本一であることを考えると、ここが本場かもしれません。

そんな屋台をそぞろ歩きしていて、ふと気づいたのが、これだけたくさんの屋台があるのに、どの屋台も軒と看板の高さが揃い、その上、建物本体の構造も材料も似ていることです。

各屋台が、勝手につくり、ばらばらになるのがふつうだから、弘前の屋台の景観コントロールが不思議です。

ということで、腹を満たしたついでに、たむろしていた休憩中の旦那衆に質問してみました。

まず、つくり方の前に驚いたのは、こういう屋台には、全国津々浦々回っている業者が多いと思っていましたが、弘前公園では、運営者は、弘前市民に限られていること。それも、抽選で選ぶのは、数枠だけで、あとは、何十年も同じ人がやっており、場所替えもなし。ただし、お化け屋敷やオートバイサーカスと言った大きなテントの置かれた亀甲門(北門)あたりだけは、他所からの業者が参入している模様で、よくある屋台風景になります。

さて、市民による屋台の話に戻ると、実は、各店舗が、勝手に設営するのではなく、弘前市が、一括して、立ち上げているのです。だから、つくりも高さも一緒。看板の地の色を白に合わせ、桃色で縁取った春らしい色使いに統一感があるのも、そういう背景があるからです。経営者も場所も変わらないので、看板の中には、数十年前の物もあるそうです。見ても分かりませんでしたが、もしかしたら、今は懐かしい響き「台湾バナナ」でしょうか。

屋台の経営者が同じとは言っても、後継ぎがおらず、閉じるところがあっても不思議ありませんが、旦那衆は、聞いたことがないなあとのこと。

おいしい利権は手放せないからかと思いきや、2週間の場所代が、間口2間×奥行1間半の基本ユニットで10万円、裏に飲食スペースを継ぎ足せば、さらに加算されます。その上、公園内の灯籠の電気代も一部負担するので、店の電気代と合わせて、こちらも10万円近く。つまり、1月単位に直すと、約10平米の商売で40万円、そこに水道代、材料費、人件費が載るから、想像していたよりは、出費がかさみます。

東京あたりの屋台と比べると、値段が高めで、量が少なめなに感じるのは、新規参入による競争から保護されているとは言うものの、担い手は弘前市民で、年に2週間の営業期間で元を取らなければならず、その割にはショバ代が高いあたりが理由でしょうか。

いずれにしろ、全国共通と思っていた屋台一つとっても、地域色があるんですね。勉強になりました。

ほとんどの屋台が飲食の中、地元名産の伝統織物、こぎん刺しはともかく、石屋の屋台があったのも驚き。花見に来て、石を買う人がいるんでしょうか?。旦那衆は、昨年、数十万円の石が売れたっていう話を聞いたよと言っておりました。それもまた、地域色?

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交通
弘前駅から駒越、弥生、枯木平方面行きバスで20分(日中は頻発)、市役所前公園入口で下車。または、土手町循環バスで20分(日中は10分毎)、市役所前下車。

リンク
弘前市役所

弘前観光コンベンション協会
弘前総合情報RIng-O Web

青森県観光情報サイト
あおもりの文化財
文化遺産オンライン

宿泊施設のリスト
弘前市旅館ホテル組合

参考文献

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弘前公園の屋台

        Photo by Daigo Ishii