スリランカ西海岸にあるムネスワラム寺院は、ヒンドゥー教の最高神の一つ、シバ神を祀る寺院です。国内に3個所ある同種の由緒ある寺院の一つで、スリランカ有数の聖地として、たくさんの教徒が巡礼に訪れます。
ヒンドゥー教徒の少ない西海岸ですが、近くにある、そこだけヒンドゥー教徒の突出している漁村ウダッパと、歴史的に、強く結び付いているそうです。 寺院自体の創建は15世紀のようですが、16世紀には、ポルトガル人による破壊を受け、その後、再建されました。
土産物屋や供物屋の楽しい門前の参道を進むと、紅白に塗り分けられた高い壁が現れます。小さな門を入ると、回廊で囲まれた境内で、中央には、本殿と前堂が立っています。スリランカヒンドゥーを代表する聖地にしては、こじんまりしています。
回廊と前堂は新しく、味気ないのですが、本殿は、400年前の建立とのこと。古さびた石積みの壁が立ち、その上には、彩色した彫刻で覆われた台形屋根が載っています。小さいながら精巧な外観です。
前堂で少し順番待ちしてから本殿に入ります。内部は、石の柱が並ぶ薄暗い空間で、装飾も控えめ。ヒンドゥー建築としては、あっさりとした部類でしょうか。奥に進み、礼拝をすると、異教徒にも、色粉で、眉間に「ビンディ」という丸印を付けてくれました。これで、お詣りは終了。門を入ってから10分も掛かりません。あまりにもスピーディーだと、御利益も少な目に感じそうなぐらいです。それから、回廊沿いの神々を巡礼しますが、これもすぐに一回り。
大きさが、聖地の格を決める訳ではないでしょうが、スリランカに近い南インドで、ヒンドゥー寺院の名刹が、巨大化して行ったのに比べると、聖地であるムネスワラムの小ささは対照的です。インドとスリランカの国の大きさの違いなのか、それとも、スリランカではマイノリティーに属するヒンドゥー教徒の立ち位置の反映なのか、あるいは、スリランカ文化では巨大志向があまり強くないのでしょうか。
交通
コロンボ空港から車で1時間半。コロンボ市街から車で2時間。
参考文献
Munnicuvaram (Munnesvaram) Kovil: Its History, Ceremonies and Layout ( A. Veluppillai, Uppsala Studies in the History of Religions (2), Uppsala University, 1995)
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