フェニックスのアールデコ建築 - 3:
プロフェッショナル・ビルディング
ウィンタース・ビルディング
(フェニックス、アリゾナ、アメリカ合衆国)
3つ目は、長方形の低層部に、T字型平面の上部が載ったプロフェッショナル・ビル(1932年、設計:Morgan, Walls & Clements)。
大通り側のファサードは、プランと同じように、逆T字形で、それが、道路ぎりぎりから切り立つようにそびえます。合理主義建築のような禁欲的な窓割りのせいで、かなりシンボリック。
よく見れば、仏像の螺髪のような塔の頂部や、正面入口のフェニックスらしき彫像、そして、唐草と矢印を組み合わせた格子がアールデコです。
3つの摩天楼が完成したのは、大恐慌の時代。小さな町にもかかわらず、プロフェッショナル・ビルは、銀行と医療関係で、タイトル・アンド・トラスト・ビルは、弁護士事務所や銀行で埋まり、ラース・タワーも、空室はあったものの、銀行への返済はきちんと続いたそうですから、差別化されたデザインには、町の規模や、景気を乗り越える力があるのかもしれません。
大恐慌以上に手強かったのが、70年、80年代に進行した、中心市街地の空洞化。そのあおりで、3つのビルも荒廃しました。風向きが変わったのが、21世紀に入ってからのこと。
LRTの開通や、大型オフィス、コンドミニアムの建設で、ダウンタウン回帰が活発となり、その波は、3つの摩天楼にも及びました。タイトル・アンド・トラスト・ビルは、高級コンドミアムに蘇り、中断していますがラース・タワーは高級リゾートへ、そして、プロフェッショナル・ビルは、最近、ホテルへリノベーション。その価値は十分にあります。
高層ビルとは対照的に、ビルに囲まれた、前庭のような一郭を、L型に囲むのが、平屋のウィンタース・ビル(1931年、設計:William PeperとMorgan, Walls & Clements)。
アメリカ・インディアンの壺にちなんだ黒御影石の文様や、白いマヤ風の浮彫に、プエブロ・デコの空気が漂いますが、ぱっと見には、フェニックスで、アールデコのスタイリッシュさを、いちばん感じました。
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交通
フェニックスのダウンタウンから徒歩圏内。
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旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。
参考文献
"アールデコ展ーきらめくモダンの夢"(天野知香, 読売新聞東京本社,2005)
"The Geo. H.N. Luhrs Family in Phoenix and Arizona 1847-1984" (George H.N. Luhrs. Jr., Jean Stroud Crane, 1988)
"Pueblo Deco" (Calra Breeze, Rizzoli International Publications, 1990)
AZ Central.com
National Resister of Historic Places
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