フェニックスのヴィクトリアン・ハウス - 3
(フェニックス、アリゾナ、アメリカ合衆国)

ダウンタウンの外れに立つのは、1893年に医者であるエヴァンス夫妻のためにつくられたエヴァンス邸。

母屋は、素材や色の組み合わせがハイブリッドな割りには、決して派手ではありませんが、正面に、鶴の上半身のような朱色のうろこ屋根のベランダがくっ付いた途端、豊かなイメージが立ち上がりました。オリエントの引用でしょうか。ただし、建設当初は、市民から、玉葱ハウスと呼ばれたそうです。ちょっと、失礼というか、この優雅さは玉葱には出せません。

ガラスのオフィスビルに囲まれた現在からは想像できませんが、仇名が付いたぐらい、当時の家並の中で、このベランダが焦点となった様が、目に浮かびます。

エヴァンス邸から西に数ブロック、スマートウェイト邸まで来ると、ダウンタウンの賑わいも届きません。元々は下宿屋として、1897年につくられ、現在の名前は、フェニックス市に寄贈した、後の持ち主に因みます。パタースン邸と同じく、James Creigtonが設計しました。

内部は、ヴィクトリアン様式のインテリアのようですし、間取りも十字型を踏襲していますが、外観は、装飾もほとんどなく、ヴィクトリアン様式の後に、アメリカで流行したバンガロースタイルのイメージに近づいています。バンガロースタイルは、玄関のポーチまで建物全体を、一つの大きな屋根で覆うのが特徴です。

下宿屋という出自があるにしても、素朴なスマートウェイト邸の外観には、華美に進んだヴィクトリアン様式から、家を包み込む大屋根によって家族の絆を強調した、素朴なバンガロースタイルへと、家族観が変化して行く時代の移ろいが重なります。

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交通
フェニックスのダウンタウンから徒歩圏内。

リンク
Pioneers' Cemetery Association -Smurtwait House

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旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。

参考文献
アメリカの住宅生産(戸谷英世著, 住まいの図書館出版局, 1998)
アメリカンホームの文化史(奥出直人著, 住まいの図書館出版局, 1988)

AZ Central.com
National Resister of Historic Places
Peterson House Museum
Pioneers' Cemetery Association -Smurtwait House
Wikipedia

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エヴァンス邸 (1893)

スマートウェイト邸 (1897)

        Photo by Daigo Ishii