フローレンスの街並 - 2
(フローレンス、アリゾナ、アメリカ合衆国)
フローレンスの後半は、文化財に指定された住宅とともに、アリゾナの住宅史のおさらい。と言っても、町づくりに関わるジェニファー・エバンスさんにお手伝いいただきます。
Sonoran Style (1866-1950) 2〜10 町の創建時から20世紀まで続きました。アドベの壁をプラスターで仕上げ、細い窓やドアが付きます。屋根は平坦で、インディアンの住居に似ていますが、今に残るものの多くは、後の改修で勾配屋根を載せています。
Early Transitional Style (1871-1947) 11〜13 Late Transitional Styleとともに建築家Harris Sobinが定義しました。Sonoran StyleとAmerican Victorian Styleの折衷で、アドベの壁に、切妻屋根を載せています。道路ぎりぎりに建てるのは、Sonoran Styleにも共通です。
Late Transitional Style (1878-1949) 1、15〜17 Sonoran Styleとアメリカの典型的住宅の融合。道路から引っ込んで立ち、アドベ造ですが、間取りは方形、屋根は寄せ棟に変わり、そこに木造ポーチや出窓が付きます。当時のアメリカは、住宅部材のメールオーダーシステムが発達しており、装飾部材は、東海岸から運ばれたそうです。
American Victorian Style (1885-1922) 18 非対称、複雑な屋根、アーチや出窓、過剰な装飾が持ち味で、19世紀後半、アメリカを席巻しましたが、フローレンスでは、ほとんどが公共建築で、住宅は簡素な1軒のみ。今は、テラスまで掛かる大屋根が特徴のバンガロースタイルに改修されています。当時、僻地の小さな町だったフローレンスでは、市民にヴィクトリアン様式の熱狂が届くには時間が掛かったのか、それとも、地場の文化が強く、材料上も、意匠上も、そこから無縁の新しいデザインに踏み出すのは、難しかったのでしょうか。
そして、住宅街を歩いても、商店街を見回しても、その次に来るはずだった機能主義の、シンプルな建築が見当りません。
歴史的意匠の住宅以外は、ローンの額や中古市場での取引価格が落ちるアメリカのことだから、住宅は致し方ないとしても、商店のビルにさえ皆無なのは、20世紀初めで、時が止まったようです。
フローレンスのような町は、昔は、アリゾナにいくつもあったそうですが、ほとんどは、町を支えた鉱業の衰退とともに見捨てられ、その頃の姿をきちんと残す町は、ここだけになりました。フローレンスが、持ちこたえたのは、近くの鉱山Silver King Mineが、20世紀初頭に閉山したものの、1930年に完成したダムによる灌漑で、農業が拡大したことが大きいようです。
交通
フェニックスから車で約1時間。
ツーソンから車で約1時間半。
リンク
Florence Main Street Program
Florence Visitor Center
Greater Florence Chamber of Commerce
Town of Florence
宿泊施設のリスト
Blue Mist Motel
Holiday Inn Express Hotel & Suites
Inn at Rancho Sonora
旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。
参考文献
"Historic Florence Walking Tour" (Florence Main Street Program)
Wikipedia
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フローレンスの街並
Sonoran Style (1866-1950)
Early Transitional Style (1871-1947)
Late Transitional Style (1878-1949)
American Victorian Style (1885-1922)
Photo by Daigo Ishii