ノルウェーのトロンハイム市に立つスーパーマーケットと集合住宅の複合施設。
トロンハイムは、緩やかな丘のランドスケープが美しい街で、その丘の中腹の住宅地に立つ。「The Hill」では、スーパーマーケットと駐車場を、ランドスケープにつながるような人工の丘の中に埋め、丘の上に、戸建て住宅を点在させた。
このような複合施設の場合、低層のスーパーマーケットの上部に、中層の箱型の集合住宅のビルを載せるのが、一般的な解決方法であるし、トロンハイムにも、そういう例が多い。対照的に、「The Hill」では、良好な戸建て住宅地の景観を壊さず、それとつながるように、デザインした。遠くから見ると、住宅地の景観に紛れて、その存在が強く意識されない。
丘の上の住宅地は、法律に基づく、防火に関する離隔距離や、幼児のためのオープンスペースにより、密度が高いが、良好な住宅地環境を実現した。
設置の義務づけられるハンディキャップ者用の住戸を除き、各住戸は、2階建が基本で、上階をLDKにし、屋根部分に、屋根勾配を利用したルーフバルコニーを持つ。丘は、東向きの斜面となっており、各住戸の上階やルーフバルコニーからは、トロンハイムの中心部とフィヨルドの風景を望むことができる。
各住戸の外壁は、伝統的な民家の色彩の現代的な再解釈である。
所在地 ノルウェー国トロンハイム市
延床面積 6883m2
構造 RC造+木造
設計 Agraff+石井大五
構造設計 Norconsult AS
設備設計 Oras AS
施工 Heimdal Entreprenør
掲載誌、書籍
2013.09. 新建築2019年8月号(新建築社, 日本)
上空からThe Hillとトロンハイムの街、そしてその向こうのフィヨルドを望む。撮影:Erik Børseth (SINLIG)。
住宅地の景観の中に埋め込まれたThe Hillを望む。撮影:Erik Børseth (SINLIG)。
上空から見下ろしたThe Hill.。回りの住宅地の配置密度に近づけるようにしている。撮影:Erik Børseth (SINLIG)。
人工の丘の上に、22戸の住戸が点在している。丘の斜面の高い側からThe Hillを見る。
丘の斜面の下側からThe Hillを見る。
スーパーマーケット入口側から見る。人工地盤の丘の上に住戸が載っているのが分かる。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
人工の丘は、地面から少しずつ緩やかな勾配で上って行く。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
丘の上には、住戸の間に、法律に準じたオープンスペースが設けられ、快適な住環境を提供する。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
丘の上には、住戸の間に、法律に準じたオープンスペースが設けられ、快適な住環境を提供する。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
斜面から東方向を望む。トロンハイムの市街やフィヨルドが見える。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
伝統的な民家の形や色を現在的に再解釈したような住戸。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
住戸の上階はLDKとなっており、窓や、トップライトから1日中、高緯度地方の明るい光が入る。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
屋根の上は、屋根勾配を利用したルーフバルコニーになっている。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。
The Hillの住戸は、周辺の住宅地の景観に埋め込まれており、馴染んでいる。撮影:Matthias Herzog (VISUALIS)。