青森のお祭り:八戸三社大祭 - 3
(八戸、青森、日本)

「お通り」に登場するさまざまな踊りの中でも、もっとも素晴らしいのが「虎舞」でした。長い行列の道中、5、6組現れたでしょうか。虎舞一つとっても、これだけの数が、今でも活動しているのが、八戸の奥深さです。

二人一組で、動物の衣装をまとって、舞を披露するというのは、獅子舞などと共通ですが、この八戸の虎舞は、見たことのあるその手の踊りの中では、ダイナミックさで出色でした。

小中高校生ぐらいの演じ手が多いようでしたが、その走り回るスピード感が、先ず、若さならでは。百戦錬磨の年寄りの獅子舞の芸の深さも格別ですが、この疾走感覚には、見ているこちらまで元気をもらいます。

それでも、1組につき、数頭の虎が、駆け抜けたり、ぐるぐると円を描いて回るあたりまでは、若さによる体力が売りぐらいに見ていましたが、最初におーっと惹き付けられたのは、突然、道の上に腹ばいになり、ごろごろと横にころがったときです。虎が、地面に身体をこすり付けて、かゆみを取ろうとしているようにも見えます。

一人で横にころがるのは、そんなに難しくありませんが、二人の演じ手が、衣装をかぶってとなると、息を合わせて、かつ、衣装が絡まないようにするのは、相当な難度です。しかし、そんな不安はみじんも感じさせません。演じ手の装束も黄色だし、股引(ももひき)は、彼らが被る衣装同様、虎の縞模様だから、遠目には、虎が地面に身体をすり寄せて、身もだえして見えるぐらいリアルです。

そして、再び起き上がると、今度は、片方の演じ手が、もう一方に肩車されて、虎がおたけびでも上げるように、高く立ち上がります。二人一組の演じ手が、水平方向に複雑に動くのは、予想範囲でしたが、こんな風に高さ方向の動きを取り入れた舞は初めてです。二人で舞うことの可能性に、感心すること頻り。ここに至って、若い踊り手が多い理由も解明されました。だって、体重の重い大人同士では、こんなに身軽にころがり、そして、ひょいと肩車などできないではないですか。

虎に噛まれると、無病息災、頭脳明晰ということで、沿道では、家族連れが、赤ん坊や小さな子供の頭を差し出しています。さすがに、赤ん坊の中には、泣き出す子もいます。大人から見たって、真に迫っているのですから、赤ん坊には、本物そのものでしょう。

「八戸三社大祭の歴史」(三浦忠司著)によれば、八戸藩士だった遠山家の文政3年(1821年)の日記に、八戸東部の漁港、鮫の虎舞の記述があるそうです。今でさえ、こんなに目を引く舞なのだから、娯楽の限られた当時は、どれほど、観衆を魅了し、赤ん坊だけでなく、老若男女を怖がらせたことでしょう。

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交通
八戸駅からバスで20分(10分間隔)、十三日町、三日町で下車。

リンク
八戸三社大祭(八戸市役所)
八戸三社大祭(八戸観光コンベンション協会)

八戸市役所
八戸観光情報
八戸観光コンベンション協会

青森県観光情報サイト

宿泊施設のリスト
八戸市の宿泊施設

参考文献
"八戸三社大祭の歴史"(三浦忠司, 伊吉書院, 2007)
"八戸三社大祭公式ガイドブック"(八戸観光コンベンション協会, 2011)

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2018.01 日本語版の文章、写真+英語版の写真

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2018.09 英語版の文章 

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八戸三社大祭 虎舞

        Photo by Daigo Ishii