青森のお祭り:えんぶり - 2
(八戸、青森、日本)
奉納を済ませた組は、神社の麓の広場に集まります。町の目抜き通りで行われる「一斉摺り」までの時間、ここで待機するのです。腹ごしらえをしている組もありますが、最後の調整も兼ねているのでしょうか、太夫や、祝福芸の子供たちが、ここかしこで舞を披露するので、その見学者も含めて、相当な人出です。屋台も出ています。
最後の組の奉納が終わり、神社から下って来ると、そろそろ出発の時間です。八戸三社大祭もそうですが、「えんぶり」もまた、祭りを披露する場まで、勝手に舞い手が動くのではなく、順序に則った行列を組んで、全員が一緒に進んで行くのです。
こんな長い行列が町を抜けて行くのだから、当然、中心街の交通は遮断されてしまいますが、混乱が引き起こされるからと言って、神社と結び付き、長い歴史のある「えんぶり」に勝るものはありません。
先頭は、裃に菅笠を被った役員。次に、禰宜を運ぶ人力車と御輿を挟ながら、学生服の上に白衣を羽織った旗持ちの出仕が続きます。その後ろに、先取締の組から始まって、各組ごと、それぞれの旗持ちが、太夫、祝福芸の舞い手、そして、囃子方を従えて、つながって行きます。
どことなくオリンピックやスポーツ大会の開会式の入場行進を思い出しました。この行列が素敵なのは、限られた世代が主役ではなく、老若男女、年齢も性別も超えた、参加者のバラエティーに富んでいることでしょう。「えんぶり」に、どれだけ飛んでもない数の人々が関わっているかの量を、目のあたりにする、またとない機会でもあります。
主役たちが、延々と、町へのお披露目のように、会場までの長い花道を誇らしげに歩いて行きます。全員が一つの大きなチームとなったような空気が、今の「えんぶり」の姿であり、八戸の魅力です。
1時間余り行列は続き、ようやく各組が、目抜き通りの定位置に付きました。
空に高く号砲が響き渡ります。「一斉摺り」の開始です。
交通
八戸駅からバスで20分(10分間隔)、十三日町、三日町で下車。
リンク
えんぶり(八戸市役所)
えんぶり(八戸観光コンベンション協会)
宿泊施設のリスト
八戸市の宿泊施設
参考文献
"青森県の歴史散歩" (青森県高等学校地方史研究会編, 山川出版社, 2007)
"図説青森県の歴史" (成田稔・長谷川成一, 河出書房新社, 1991)
"郷土資料事典 青森県" (人文社, 1998)
"季刊あおもり草子第25号" (企画集団プリズム, 1985)
"えんぶり読本" (正部家種康, 伊吉書院, 1992)
"江戸時代ひとづくり風土記2青森" (農山村漁村文化協会, 1992)
"八戸市博物館 えんぶり展" (八戸市博物館, 2012)
"八戸三社大祭の歴史"(三浦忠司, 伊吉書院, 2007)
"八戸三社大祭公式ガイドブック"(八戸観光コンベンション協会, 2011)
えんぶり(八戸市役所)
えんぶり(八戸観光コンベンション協会)
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