,

青森の森を抜けて - 八甲田から十和田へ:奥入瀬渓流 - 2
(十和田、青森、日本)

奥入瀬渓流へは、幸か不幸か、十和田湖に抜ける国道が付かず離れず走っているので、アクセスは容易ですが、バスで訪れるとなると、本数が少ないのが難点。

バスで来て、大きな荷物がある場合の、個人的お薦めは、(A)子ノ口(ねのくち)で荷物を預けて、電動自転車を借り、乗り捨て可能な途中の石ヶ戸か、終点の焼山まで国道を下り、そこから渓流沿いの散策路を歩いて子ノ口に戻って荷物を引き取るか、あるいは、その逆に、(B)焼山で預けて、子ノ口(ねのくち)まで電動自転車で上り、子ノ口から歩いて下る方法です。これなら、バスのダイヤの影響が最小限になります。

徒歩の復路で、出発点まで戻るのがきつい場合は、切り上げて、途中からバスで戻る手もあります。

ただし、Aコースは、焼山から子ノ口へ徒歩で上るのが、下るよりは少しだけきつく、Bコースは、電動自転車のフル充電したバッテリーでも、子ノ口まで上るには、足りない可能性があります。以前は、子ノ口(ねのくち)で荷物を預け、焼山で受け取るサービスがあったようなので、それが復活すれば、こんな面倒なことをしなくても済むのですが。

Bコースを歩いてみましょう。

子ノ口を出発してしばらくすると、水門が現れ、そこからは、先ず、山の迫るふつうの細い渓谷が続きます。やがて、川は、山間と思えない平らかな流れとなり、のんびりとして来ます。ひととき、木立を抜けて歩くと、急に川幅が狭まって、苔むした小岩と泡だった白い水流の対比が美しい早瀬に変わります。「万両の流れ」です。

すぐに穏やかな流れが戻り、さらに10分ほど歩くと、そこが「銚子大滝」。高さ7メートル×幅20メートルは、大掛かりな滝ではありませんが、垂直に切り立ち、ここから先に魚が上れなかったことが、十和田湖に、長い間、魚が生息していなかった理由とされています。晴れた日の新緑の中で見る白い水しぶきが、清冽に輝きます。

次の大きな見所「白銀の流れ」までは1時間半ほど。流れの両側には、点々と小さな滝が見え隠れします。特別なシーンがある訳ではありませんが、気持ちのいい、美しく静かな森が続きます。やがて、道が河岸を登り始め、眼下に「白銀の流れ」が現れます。急流に、点々と岩が投げ出され、水墨画で見たような風景が広がります。

そこから「雲井の滝」まで20分。滝は、散策路から外れ、国道の向こうの奥まったところにあります。滝の入口から滝壺まで、苔むした岩と流れが、本流に比べれば、縮小されたスケールで、バランスよく配置されたのが、ここの見所です。日が入りにくいのか、本流よりも、苔むした岩への雑草の寄生が目立ちませんし、何よりも、瀬が、手の届く距離を流れ、間近で自然の庭園美を堪能できるのです。

英語版へ移動する

Google Maps で場所を見る

交通
八戸駅からバスで焼山まで1時間30分、十和田湖休屋まで2時間15分(冬季を除き1日3便)。青森駅からバスで焼山まで2時間30分、十和田湖休屋まで3時間15分(冬季を除き1日5便)。

リンク
奥入瀬渓流

十和田市役所
十和田観光協会

青森県観光情報サイト

宿泊施設のリスト
十和田観光協会 - 泊まる

参考文献
"青森県の歴史散歩" (青森県高等学校地方史研究会編, 山川出版社, 2007)
"郷土資料事典 青森県" (人文社, 1998)

Upload
2018.01 日本語版の文章、写真+英語版の写真

Update 

← previous  next →

Copyright (C) 2010 Future-scape Architects. All Rights Reserved.
無断転載は、ご遠慮いただくようにお願いいたします。

← previous  next →

銚子大滝から白銀の流れまで

        Photo by Daigo Ishii