沖縄のビーチに近い場所に立つペンションとオーナーの住宅。
2階からは東西に海が見え、さらに、北東側の隣地に、聖地がある立地でした。
1階は、客のための共用スペースとオーナーの住居になっています。放射状のプランは、聖地から、聖なる方向である西の海に向かう視線の通り道を確保することから生まれました。他所から来た人間のつくる新しい建築が、この地に昔からあった宗教と人々の関係を分断することを、できるだけ抑え、場やコミュニティーとつながりつくろうとしています。
2階は、1階とは無関係に、東西南北の軸に合わせた間取りです。客室は、東側と西側に開いた窓を持ち、日の出と日没を体験することができるます。2階では、地域よりもっと大きいスケールの場を体感することになります。
2つの異なる世界は、ただ重なり合うだけであり、宿泊客は、1階と2階を結ぶ階段を上り下りするたびに、それぞれの世界を強く意識し、場に対して敏感になって行きます。
屋根は植栽で覆っています。島でもっとも高い場所であり、森の景観から突出しないように配慮しました。他所から来た者のつくる建築が、コミュニティーの景観を支配することを避ける配慮でもあります。
所在地 沖縄県本部町
延床面積 220 m2
構造 鉄筋コンクリート造2階建
構造設計 大賀建築構造設計事務所
1階の放射状プランの共用スペースとオーナー住宅の上に、南北軸に合わせて配置され、東西両側に窓を持つ客室棟が載っている。
西側から見下ろした様子。屋根は植栽で覆われ、森の景観につながって行く。
南側から見下ろした様子。
東側から見下ろした様子。
南西から見た様子。1階の共用スペースの西側は、海を見晴らすテラスとなる。
西から見た様子。1階西側のテラスから、共用スペースを通して、その向こう側に設けられたテラス、さらにその先にある聖地を見通す。
聖地を中心点として、西の海に向かって、放射状に開く1階のプランと、南北軸に合わせて配置され、東西の海に向かって開いた客室棟の2階。